業務内容 公認会計士・税理士と司法書士による相続手続き

暗号資産の評価方法

2024/08/30
暗号資産の評価方法

2024年08月30日発行

期末時価評価の適用除外

 内国法人が事業年度終了時に有する暗号資産のうち、活発な市場が存在するものは、期末に時価評価し、その評価損益を当期の益金又は損金の額に算入します。

 一方、暗号資産が資金調達方法に用いられるなど、暗号資産の保有の目的が多様化していることから、一定の要件を満たすものは期末時価評価の対象外とされました。

 具体的には、他の者に移転できないようにする技術的措置が取られていること等、暗号資産の譲渡に制限が付されていることが必要で、かつ、暗号資産交換業者に事前に通知をしていることが必要となります。

 評価方法に関する税務署への届出は、申告書の提出期限まで、とされていますが、移転制限の措置を取るために、暗号資産交換業者の方である程度の時間がかかることが想定されるため、もし時価評価の適用除外の措置を受けたい場合には、期末ギリギリではなく、早めに手続きをした方が安心です。

単価の算出方法

 暗号資産の単価の算出方法は移動平均法・総平均法があり、法人は移動平均法、個人は総平均法が原則とされています。違う方法を選択したい場合には、同様に税務署への届出書の提出が必要となり、銘柄ごとに異なる算出方法を採用することも可能です。

時価評価された際の注意点

 一定の要件を満たす場合には、暗号資産の時価評価が不要とされたものの、一定期間の譲渡制限をつける必要があり、短期的な値動きで利益を得ようとしている場合には適用ができません。そのため、資産運用として暗号資産を所有している法人は、時価評価を前提に考える必要があります。

 時価評価をされた場合、実現した損益ではなく含み益に課税されることとなるため、多額の利益が出ている場合には、納税資金の確保に注意する必要があります。