- 2022/10/25
- 役員への貸付金に関する税務上の取扱い
2022年10月25日発行
【概要】
会社が役員へ金銭の貸付をしている又は役員への未収入金がある場合には、一定の税務的な処理が必要である。
≪ポイント≫
・原則として、利息を適正に受け取る必要がある。
・株主総会議事録や金銭消費貸借契約書を作成しておくことが望ましい。※利益相反取引に該当
・BSに役員貸付金があると金融機関の評価が下がる。
・相続税への影響(役員貸付金は債務控除、役員借入金は相続財産)。
【税務上の正しい処理】
1.無利息で貸し付けていた場合
役員への貸付には利息計上が必須とされている。もし役員から利息を回収しない場合には、原則として、経済的利益の供与となるため、利息相当分が役員賞与として取り扱われる。
「役員賞与(損金不算入)」/「受取利息(益金算入)」
⇒法人税が課税され、かつ、役員賞与は給与所得として所得税が課税される。
2.債権放棄をした場合
法人税法では、貸倒損失を損金算入できる要件が規定されているため、
会社側の経費(貸倒損失)として損金に計上できず、役員賞与として取り扱われる。
「役員賞与」/「役員貸付金」
3.役員貸付金の解消方法
役員貸付金がある場合には、適切な利息を回収していれば税務的には問題になりにくいが、
金融機関は役員貸付金の存在を問題視する。
⇒できるだけ早急に解消するよう検討すべきである。
≪解消の方法≫
・役員報酬の増額で相殺
・退職金と相殺
・個人資産で代物弁済