業務内容 公認会計士・税理士と司法書士による相続手続き

確定申告における医療費控除とセルフメディケーション税制について

2022/12/26
確定申告における医療費控除とセルフメディケーション税制について

2022年12月26日発行

  •  概要

その年の1月1日から12月31日までの間に自己又は自己と生計を一にする配偶者やその他の親族のために医療費を支払った場合において、その支払った医療費が一定額を超えるときは、その医療費の額を基に計算される金額の所得控除を受けることができる。これを医療費控除という。

  •  要件

(1) 納税者が、自己又は自己と生計を一にする配偶者やその他の親族のために支払った医療費であること。

(2) その年の1月1日から12月31日までの間に支払った医療費であること(未払いの医療費は、現実に支払った年の医療費控除の対象となります。)。

(※) 対象となる医療費には、治療や療養に必要な医薬品の購入の対価であれば、セルフメディケーション税制の対象となる医薬品の購入費も含まれます。

  •  対象となる金額

医療費控除の金額は、次の式で計算した金額(最高で200万円)。

 (実際に支払った医療費の合計額-(1)の金額)-(2)の金額

(1) 保険金などで補てんされる金額

(例) 生命保険契約などで支給される入院費給付金や健康保険などで支給される高額療養費・家族療養費・出産育児一時金など

(注) 保険金などで補てんされる金額は、その給付の目的となった医療費の金額を限度として差し引きますので、引ききれない金額が生じた場合であっても他の医療費からは差し引きません。

(2) 10万円

(注) その年の総所得金額等が200万円未満の人は、総所得金額等の5%の金額

  • セルフメディケーション税制

健康の保持増進及び疾病の予防への取組として一定の取組を行っている方が、その年に特定一般用医薬品等購入費を支払った場合には、一定の金額の所得控除(医療費控除の特例)を受けることができる。

<セルフメディケーション税制の適用を受けるための要件>

(1) 納税者が、自己又は自己と生計を一にする配偶者やその他の親族のために支払った特定一般用医薬品等購入費であること。

(※) 特定一般用医薬品等購入費とは、医師によって処方される医薬品(医療用医薬品)から、ドラッグストアで購入できるOTC医薬品に転用された医薬品(スイッチOTC医薬品)の購入費をいい、購入した際の領収書にセルフメディケーション税制の対象であることが表示されています。

(2) その年の1月1日から12月31日までの間に支払った特定一般用医薬品等購入費であること(未払いの購入費は、現実に支払った年の控除の対象となります。)。

(3) セルフメディケーション税制の適用を受けようとする年分に健康の保持増進及び疾病の予防への取組として、申告される方が以下のいずれかの「一定の取組」を行っていること。

1 保険者(健康保険組合、市区町村国保等)が実施する健康診査【人間ドック、各種健(検)診等】

2 市区町村が健康増進事業として行う健康診査【生活保護受給者等を対象とする健康診査】

3 予防接種【定期接種、インフルエンザワクチンの予防接種】

4 勤務先で実施する定期健康診断【事業主検診】

5 特定健康診査(いわゆるメタボ検診)、特定保健指導

6 市町村が健康増進事業として実施するがん検診

【控除額の計算方法】

セルフメディケーション税制による医療費控除額(最高¥88,000)

-実際に支払った特定一般用医薬品等購入費の総額

-保険金などで補填される金額

-12,000円

【医療費控除とセルフメディケーション税制の選択適用】

医療費控除とセルフメディケーション税制は、いずれか一方を選択して適用を受けることになります。

したがって、セルフメディケーション税制の適用を受けることを選択した納税者は医療費控除を受けることができず、医療費控除を受けることを選択した納税者はセルフメディケーション税制の適用を受けることはできません。