- 2022/09/28
- 法人の社宅における節税効果について
2022年09月28日発行
【概要】
社宅制度とは、法人が物件を賃借又は所有し、役員や従業員に貸し出す制度のことである。法人が、社長などの役員や従業員に対して社宅を貸す場合、その従業員等から一定額の家賃(以下「賃貸料相当額」)を受け取っていれば、給与として課税されない。この時、従業員等からいくらを受け取ればよいのかが重要なポイントとなる。
【内容】
1.社宅制度を導入するメリット
①法人側のメリット
・法人が住宅を借りて従業員等に貸し付けた場合、支払った賃料と本人から受け取った賃料の差額を会社の損金とすることができるので、法人税の節税効果がある。
・法人が住宅を購入して役員等に貸し付けた場合、その住宅は法人の資産として計上され、減価償却やローンの金利、固定資産税や維持費なども経費にすることができる。
②個人側(役員、従業員)のメリット
家賃の10~50%程度を法人に支払えば、法人に負担してもらった部分は、従業員等の所得税や住民税の課税対象とならず、社会保険料の算定対象にもならない。
※現金で支給される『住宅手当』は給与課税されるため、所得税や社会保険の対象となる。
2.社宅制度を導入するにあたっての注意点
①賃貸料相当額はいくらに設定すればよいか。
実務上は、税務署から否認されない範囲である【賃料の50%】を本人負担額とするケースが多い。賃貸料相当額を算定すると、家賃の10%~20%程度が本人負担額となるため節税のメリットが大きい。(計算方法は「住宅の種類」と「役員か従業員か」によって異なる。)
②物件は居住者本人ではなく【法人名義】で契約する必要がある。
③社長1人会社でも適用できる。
④個人事業主の場合、事業主本人には、社宅制度を適用することができない。
契約者=個人事業主、実際に住む人=従業員(契約者以外)であれば適用できる。
⑤一部を事務所として使用している場合(社宅兼オフィス)
原則どおりに計算した賃貸料相当額の70%以上を役員等から徴収していればOK。
⑥1世帯に対して社宅が2軒ある場合
「小規模な住宅」に該当するか否かは、その社宅の床面積の合計額で判断する。
⑦特殊な業務を行う場合、低い金額で設定している場合でも給与課税されない場合がある。