業務内容 公認会計士・税理士と司法書士による相続手続き

【相続時精算課税制度の特例について】

2026/08/31
【相続時精算課税制度の特例について】

2026年08月31日発行

1,概要

相続時精算課税に係る贈与税の基礎控除110万円の新設、暦年贈与の生前贈与加算の対象期間の延長を受け、相続時精算課税制度の適用ニーズは高まるものと考えられます。

相続時精算課税を選択するためにはいくつかの要件を満たさないといけませんが、措置法により、一部緩和した要件により相続時精算課税制度を適用することができる場合があります。

2,相続時精算課税制度(精算贈与)とは

(1)概要

高齢者の資産を、消費や支出の多い現役世代へ回して経済を活性化させるという目的がある。

①贈与の形態の1つで、暦年贈与と違い、税負担を少なく一度に多額の生前贈与ができる。特定贈与者ごとに2,500万円の特別控除枠が設けられて、特別控除枠を超えた分は一律で税率20%のため、暦年贈与に比べて贈与税の負担を軽減できる。

②特定贈与者が死亡した場合には、特定贈与者の財産として持ち戻されるが、令和6年1月1日以降の精算贈与の財産は、基礎控除110万円を控除した金額での持ち戻しとなる。

③贈与者ごとに暦年贈与か精算贈与を選択できるが、精算贈与を一度選択すると撤回できない。

(2)要件

イ:贈与者が贈与をする年の1月1日において60歳以上であること。

ロ:受贈者が贈与を受ける年の1月1日において18歳以上であること。

ハ:受贈者が贈与者の直系卑属である推定相続人であること。

ニ:贈与税の申告期限内に相続時精算課税選択届出書を税務署に提出していること。

3,相続時精算課税制度の特例

(1)特例1:相続時精算課税適用者の特例

①緩和される要件:ハ

②内容:受贈者が贈与者の孫であれば、相続時精算課税制度を準用できる。(孫は通常推定相続人ではない)

③留意点:特定贈与者の死亡時に、特定贈与者の子(孫の親)が生きている場合は、孫の相続税は2割加算の対象となる。

(2)特例2:住宅取得等資金の非課税贈与を受けた場合の特例(R8年12月31日までの時限法)

①緩和される要件:イ、(ハ)

②内容:住宅取得等資金の非課税贈与との組み合わせる場合は、贈与者が60歳未満であっても相続時精算課税制度を準用できる。

③住宅取得等資金の非課税贈与:受贈者が18歳以上であるなど、一定の要件を満たすと受贈者の住宅用家屋の新築等に必要な資金の500万円(省エネ等住宅なら1000万円)の贈与を非課税にできる。R8年12月31日までの時限法。令和4~6年の適用件数は年5万件程度あるため、次の税制改正でも期限延長される可能性は高い。

④効果:住宅取得等資金の非課税贈与500万円と、相続時精算課税の控除額最大2,610万円(基礎控除110万円+特別控除2,500万円)の合計3,110万円を贈与税負担無しで贈与できる。

⑤制度趣旨:住宅取得等資金の非課税贈与には贈与者の年齢要件は無いため、それに合わせて贈与者が60歳未満であっても相続時精算課税を準用できるようにしている。

受贈者は贈与者の推定相続人(子)だけでなく孫も含まれるが、18歳以上の孫がいる60歳未満の贈与者 という要件を満たすケースはあまりないと思われる。

※贈与者が60歳未満の場合の特例のため、贈与者が60歳以上であれば、住宅取得等資金の非課税贈与+通常の相続時精算課税での運用となる。