業務内容 公認会計士・税理士と司法書士による相続手続き

相続ワンポイント vol.6 : 準確定申告

2013/04/15
相続ワンポイント vol.6 : 準確定申告

相続が発生した場合には、相続税だけでなく、被相続人に係る所得税の申告にも留意する必要があります。


所得税は、通常、1月1日から12月31日までの1年間に生じた所得について本人が税額を計算し、翌年の3月15日までの間に申告及び納税をする必要があります。(確定申告)


一方、年の中途で死亡した人の場合は、1月1日から死亡した日までの所得についてその相続人が税額を計算し、相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内に、被相続人の死亡当時の納税地で申告と納税をしなければなりません。これを準確定申告といいます。

準確定申告が必要となる人
一般的に、被相続人が次に該当するような場合は準確定申告の対象となります。

  1. ①個人事業を行っていた人

  2. ②不動産賃貸業を行っていた人

  3. ③給与所得者で2,000万円を超える給与収入があった人

  4. ④給与所得、退職所得以外の所得が20万円以上あった人

  5. ⑤2か所以上から給与を受け取っていた人

  6. ⑥不動産の譲渡等をした人


また、高額の医療費を払っていた場合などは、準確定申告をすることにより源泉徴収されていた税金の還付を受けることができるケースがあります。

準確定申告に係る所得税の相続税での取扱い

準確定申告により納付することとなる所得税は、被相続人に係る債務として、相続税の計算上控除することができます。


一方、準確定申告により還付される所得税がある場合には、相続税の計算上、被相続人の資産として計上する必要があります。

相続人が複数いる場合

原則として、相続人全員が連署により準確定申告書を提出します。


各人が別々に申告することもできますが、この場合は申告書を提出した相続人は他の相続人に申告した内容を通知しなければなりません。


準確定申告により還付を受けることができる場合で、相続人の代表者が還付金を受け取るときは、相続人全員の委任状が必要となります。

準確定申告の際の所得控除
<医療費控除>

死亡の日までに支払った医療費が対象となります。死亡後に相続人等により支払われた医療費は準確定申告において医療費控除の対象にはなりません。


<社会保険料控除・生命保険料控除・地震保険料控除>

死亡の日までに支払った保険料が対象となります。


<配偶者控除・扶養控除>

適用の有無に関する判定は、通常は年末の現況により行いますが、準確定申告の場合には死亡の日の現況により行います。